制作・修復実績

観照院薬師如来立像

観照院薬師如来立像_
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観照院薬師如来立像_

観照院薬師如来立像

2022年

名 称
薬師如来立像
制作年
2022年
所蔵先
観照院  [ website ]
材 質
カヤ
技 法
一木造
寸 法
66cm
観照院薬師如来立像
観照院薬師如来立像
観照院薬師如来立像
観照院薬師如来立像
観照院薬師如来立像
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観照院薬師如来立像
観照院薬師如来立像
観照院薬師如来立像
観照院薬師如来立像
観照院薬師如来立像

造立にあたって観照院さまよりいただいたご相談内容は、私にとって初めてものでした。
それは、「お寺の境内に立っているカヤの木を、諸事情により切らなくてはいけなくなったため、カヤの木の供養として、仏像にできないか」というものです。
カヤは私にとって、学生時代から扱ってきた、思い入れのある用材です。
そのカヤの木の伐採法要から造立まで一貫して立ち会える経験は、私にとって願ってもないご依頼でした。

実際にお寺に訪れると、それは木幅も細い、まだまだ若いカヤの木でした。
伐採法要を控えた夏、その年の豪雨により、観照院さまが被災しました。
境内が浸水したため、お堂もカヤの木も、水に浸かってしまったそうです。
予期せぬ被災に加え、2021年から蔓延したコロナウイルス感染症により、法要や伐採の計画は、全て予定通りにいかなくなりました。
それでもなんとか無事に法要、伐採、製材を終え、いざ制作に取り掛かると、節や傷が多く木目も乱れており、木質も安定していない若いカヤの木に、今度は頭を悩ますことになりました。
通常であれば、おおよそ彫刻用材としては選択しないような材です。
また、節や傷が出てしまった場合、埋め木を施すのが一般的です。
作業が進んできたある日、節に関してご住職に相談すると、「節もカヤの木の人生の一部なので、そのまま生かしてほしい」との返答をいただきました。「被災して水に浸かったカヤの木が仏像になったことを、次の世代の人にも伝えられる一助となるのではないか」とのことでした。
薬師像は、制作者の意図を越え、カヤが生来持っていた個性と、そこに寄り添う観照院さまのお気持ちを表現することができたと思っています。
本造像に携わることができ、制作者としてとても嬉しく思います。