唐招提寺麈尾
唐招提寺麈尾
2023年
- 名 称
- 麈尾
- 制作年
- 2023年
- 所蔵先
- 唐招提寺
- 材 質
- ヒノキ、漆、イグサ、金具
「麈尾」という名称は、「おおじか(麈)」が「尾」を振ることにより、群れを先導するさまを表しているとされます。麈尾を手に執る僧侶は、儀式の際には導師として、他の僧侶を導く役割を担います。古くは、三蔵法師として知られる玄奘を描いた敦煌莫高窟由来の絵図(8〜11世紀)や、上品蓮台寺所蔵絵因果経(8世紀)等にも描き表されていますが、日本における麈尾の実作例は多くありません。
制作のご依頼を受け、調べていくと、唐代に漢訳された経典「根本説一切有部毘奈耶雑事」に、麈尾に使用するべき材料が示されていることが分かりました。経典に記された事柄に則りながら、どのような材料を用いるか、法要で使用する際に扱いやすい姿かたちなど、ひとつひとつ唐招提寺さまのご意見をいただきながら制作を進めました。
戒律を重んじる唐招提寺さまらしい麈尾に仕上がったと感じています。