薬王寺地蔵菩薩立像
日輪山薬王寺地蔵菩薩立像
2023年
- 名 称
- 地蔵菩薩立像
- 制作年
- 2023年
- 材 質
- カヤ、水晶、鉄、銅、顔料
- 技 法
- 一木造り
- 寸 法
- 像高65cm
地蔵菩薩像は、お釈迦さまが入滅したのち、遠い未来に弥勒菩薩が出現されるまで、この世の全ての人を救う役割を担う仏様です。
境内に大きな銀杏の木がそびえ、四季折々の花々が咲きほこる薬王寺さまには、日々さまざまな世代の方がお参りにいらっしゃいます。この度の制作におけるご住職が示された唯一のご希望は、「参拝にいらした老若男女すべての方に好まれるような、優しい雰囲気のお地蔵さま」ということでした。
ご住職や檀家の皆さまとお話しするうち、地蔵菩薩像は、参拝された方へ歩み寄るような、一歩踏み出す姿にしたいと思うに至りました。加えて、蓮華座の下に雲を彫刻することによって、今ここに飛来したさまを表現したいと考えました。
また、地蔵菩薩の特徴のひとつに、右手にもつ錫杖(しゃくじょう)があります。錫杖は本来、僧侶が手に携え歩く際、環状の飾りが揺れることにより、音が生じる法具です。そのため、その役割を忠実に再現できるよう、錫杖頭は金属製である必要があると考えました。そして、左手にもつ宝珠(ほうじゅ)は、災いを除き願いを叶える力があります。古事文献に則り、群青で彩色を施しました。このように、本来の地蔵菩薩の役割を造形の一つ一つに込めたいと考えました。
お寺さまと檀家さまのもと、多くの人に歩み寄り、寄り添うような仏さまになれたら嬉しく思います。