當麻寺中之坊焼損仏立像
當麻寺中之坊焼損仏立像
2024年〜2025年
- Name
- 焼損仏立像
- Repairment Year
- 2024年〜2025年
- Owner / Location
- 當麻寺中之坊 [ website ]
- Materials
- 広葉樹(ケヤキか)
- Technique
- 一木造り
- Size
- 像高92.8cm
- Contractor
- 3D計測:奈良県立大学教授 山田修氏 含浸強化:矢野造形技法研究所
當麻寺中之坊に伝わる本像は、脚部の損傷により自立することができず、箱に横たえられた状態で保存されていました。全体的に朽損と焼損がみられることから、当初の造形は明らかでなく、くわしい尊種をうかがい知ることはできません。ケヤキとみられる広葉樹で制作されており、内部は大きくウロ状になっていながら、今なおずしりとした重みがあります。
本修復では、「自立した状態でお堂にお祀りし、拝むことができるようにしてほしい」というお寺様のご要望に沿い、像本来の美しさを邪魔することなく、かつ安定した状態で自立できるかたちを目指しました。
修復においてはまず、炭化部位のさらなる腐食を抑えられるよう、含浸処置を施しました。また、新たに台座を制作しました。脚部を支える木製治具は、像脚部の形状を反転した3Dデータを作成し、3D切削機で加工を施しています。そうすることにより、朽損により脆弱になった像本体との接触を最小限に抑えつつ、像の形状にぴたりと沿った治具を制作することができました。
自立した御像を前にすると、仏としての存在感は、細部のかたちを失ってなお失われないだということを感じます。